フランス料理と聞くと、敷居が高いイメージを抱き、苦手意識を持つ人も多いのではないでしょうか。
友達や恋人と行くのなら、あまりマナーに神経質にならず料理を楽しむのが一番ですが、結婚式や記念日など、特別な日に食べることが多いフランス料理。どうせならビシッとかっこよくキメたいですよね?
そこで今回は、大人のたしなみとして覚えておきたいフランス料理のテーブルマナーと、料理を上品に食べるコツについてご紹介します。少し長くなりますが、これさえ読めば高級レストランも怖くありません!
- 目次
- まず初めに:コース料理の順番を覚えておこう
- フレンチレストランはレディーファーストが基本!
- 食前酒はシャンパンを選ぶのが王道
- ナプキンのスマートな使い方&置き方
- カトラリー(ナイフやフォーク)の使う順番と使い方
- フランス料理を上品に食べるコツ
まず初めに:コース料理の順番を覚えておこう
テーブルマナーを覚える前に、まずはフランス料理のコース内容と順番について知っておきましょう。お店やコースの内容によって、出てくるタイミングが違うこともありますが、一般的にコース料理は次の順番に提供されます。
- 0.小前菜(アミューズブーシュまたはアミューズグール)
- 居酒屋のお通しのようなもの。「おもてなし」の気持ちが込められているので、目でも楽しめる一口サイズのものが多い。出るかどうかは店により異なる。
- 1.前菜(オードブルまたはアントレ)
- 食欲をそそるため、見た目も美しく、酸味や塩味のきいた軽い料理が中心。
- 2.ポタージュ(スープ)
- 口に広がったスープの味をリセットするために、パンも一緒に提供されることがある。
- 3.魚料理(ポワソン)
- メインとなる魚料理。カニやエビも含まれる。
- 4.口直し用氷菓(ソルベ)
- 口直しのために、シャーベットなど、さっぱりした味わいのものが多い。出るタイミングはコースの内容によって異なる。
- 5.肉料理(ヴィアンド)
- メインとなる肉料理。鶏、豚、牛だけでなく、ウサギや鹿、鴨なども含まれる。
- 6.チーズ(フロマージュ)
- デザートの前に口の中の雰囲気を変えるため、テーブルの整理もかねて提供される。レストランによってはコースに含まれず、別料金の場合も。また、チーズには二日酔いを緩和させる作用もある。
- 7.デザート(デセール)
- しっかりした甘味のあるデザートが出される。値段の高いコースでは、2種類の用意されていることもある。
1. フレンチレストランはレディーファーストが基本!
フレンチはレディーファーストが基本です。ウェイターが最初に引いてくれる席が上席なので、女性から先に着席しましょう。
フランス料理に限らず、デートであれば常にレディーファーストを心がけたいもの。男性は、入り口や通路から遠い席、景色の見晴らしが良い席に女性を優先して座らせてあげましょう。
2. 食前酒はシャンパンを選ぶのが王道
席に着くと、料理を注文する前にまず、「食前に何かお飲み物はいかがですか?」と聞かれるので、食前酒を注文します。食前酒として一番無難かつ王道の飲み物は、どんな料理とも相性が良いシャンパンとスパークリングワインです。他にも口当たりの軽い白ワインや、ワインベースのカクテルもおすすめ。
ワインのマナーについては「ワイン初級者がレストランデートのために覚えておきたい11のポイント」をチェック。
ちなみにビールは、メニューにのっていれば注文することはできますが、食前酒ではないので、高級店では頼まないのが一般的。お酒があまり飲めない方は無理に頼む必要はないので、水や炭酸水を頼むといいでしょう。
- 食前酒とは
- 食前酒とは、料理を食べる前に少量のアルコールによって、胃を刺激し食欲を増進させるためのものです。そのため、味が分からなくなったり、酔っぱらってしまわないように、クセがなく、アルコール度数が低いお酒を選びましょう。
3. ナプキンのスマートな使い方&置き方
3.1 ナプキンの役割と使い方
ナプキンには、料理をこぼして服が汚れてしまうのを防ぐ役割と、口元についたソースや油をふき取るための二つの役割があります。自分のハンカチやティッシュを使うのはマナー違反なので、遠慮せずにナプキンを使いましょう。
ナプキンは広げて置いても問題ないですが、少しずらして2つ折りにし、膝の上に置くのがスマート。口元をふくとき、2つ折りにしたナプキンの内側を使えば、膝の上に戻したとき汚れを隠すことができ、服が汚れるのも防ぐことができます。
3.2 ナプキンの置き方
ナプキン使い始めるタイミング
ナプキンを膝にかけるタイミングは、ワインや料理を注文した後。「食べる準備が整いました」というサインになるので、食前酒や前菜が運ばれてくる前までには膝の上にセットしておきましょう。
結婚式であれば、料理が運ばれてくるまで少し時間があるので、乾杯の後、席に着いてから広げると良いでしょう。
食事の途中で席を離れるとき
お手洗いなどで席を外すときは、軽くたたんでイスの上に置きましょう。口をふいて汚れているナプキンをテーブルの上やイスの背もたれにかけるのはマナー違反になります。
食事を終えて席を立つとき
最後、食事を終えて席を立つときは、自分から見て左側にナプキンを置きます。ここで豆知識ですが、フレンチでは、ナプキンはあまりキレイにたたまない方が良いとされています。
これは、「キレイにたたむのを忘れるくらい美味しかった」ということを意味するためです。反対に、キレイにたたまれたナプキンは「料理が美味しくなかった」ことを意味してしまいます。とはいえグシャグシャな状態で置くのも美しくないので、サッと軽くたたんで置くくらいが良いでしょう。
4. カトラリー(ナイフやフォーク)の使う順番と使い方
4.1 カトラリーの使う順番
カトラリー(ナイフやフォーク)がセットされている場合は、基本的に外側から順番に使っていけば問題ありません。正面のお皿の上にセットされているカトラリーは、デザートやソルベ(お口直し)のためのものです。
4.2 ナイフとフォークの使い方
食事の途中
食事の途中でナイフとフォークを置く場合、カタカナの「ハ」の字にすることはご存知の方も多いはず。しかし、ただ「ハ」の字にするだけでなく、ナイフはフォークの内側に置き、さらに刃を自分の方に向けるのが正式なマナーとされています。これであなたもマナー上級者に一歩前進。
食べ終わったら
ナイフとフォークをそろえて置くと食事終了のサインになります。この時も、フォークの内側にナイフを置き、ナイフの刃は手前に向けます。ナイフの刃を外側に向けたり、フォークを裏返して置くことは、マナー違反になるので気をつけましょう。
5. フランス料理を上品に食べるコツ
5.1 前菜・サラダの食べ方
サラダを上品に食べるコツは、上手にナイフを使いこなすことです。大き目のレタスなどは、ナイフを使って食べやすいサイズに切りましょう。そしてナイフとフォークを使って葉を折れば、フォークに刺さりやすくなり、スムーズに食べられるようになります。
5.2 スープの飲み方
音を立てながらスープを飲むのはマナー違反です。スプーンに口をつけてすするのではなく、口の中に静かに流し込んで味わうようにしましょう。量が少なくなってきたら、お皿の奥側を浮かせて手前に傾け、スープをすくうのがフランス料理のテーブルマナーです。
スープがカップに入って出てきた場合は、取っ手を持って直接カップに口をつけて飲んでもかまいません。熱いときは、息を吹きかけるのではなく、スプーンでかき混ぜながら冷ますのが正しいマナーとされています。
スープの受け皿がある場合、スプーンを受け皿の奥側に置けば「下げてください」という合図になり、中身が残っていても下げてもらえます。
5.3 パンの食べ方
パンは一口大のサイズにちぎって左手に持ち、右手にバターナイフを持ちます。
フランス料理においてパンは、料理の味が混ざってしまわないよう、口の中をリセットする役割があります。空腹を満たすために提供されるものではないので、メインの前にお腹がいっぱいになってしまったなんてことがないよう、あまりバクバク食べすぎないよう注意しましょう。
スープやあまった料理のソースをパンにつけて食べるのは美しくないという意見もありますが、マナー違反ではありません。デートなど気軽なディナーであれば、気にせず食べたいように食べましょう。
5.4 魚料理の食べ方
魚料理のカトラリーに、ナイフのようなスプーンのような「フィッシュスプーン」がセットされていることがあります。
これは魚の身をソースやスープと一緒に食べるためのもので、フィッシュスプーンを右手に、フォークを左手に持ちます。フォークで身を押さえながらフィッシュスプーンで切って乗せ、ソースやスープも一緒に美味しくいただきましょう。
5.5 肉料理の食べ方
肉料理はナイフで少しずつ切り分けて食べるのがマナーです。一度にすべて切り分けてしまうのはNG。肉汁が流れ出てしまうし、せっかくの料理が冷めてしまいます。
骨付き肉が出たときは、まずはナイフとフォークを使用して、切り分けて食べていきます。そしてナイフでは切りづらいくらいまで残りの身が少なくなったら、骨を手で持ち、直接かじりついても大丈夫です。フランス料理だからといって、手を使ってはいけないということはないので、遠慮する必要はありません。
フィンガーボウルが出てきたら、手を使って食べてもいい合図だと思ってください。片手ずつ指の第二関節くらいまで入れ、指先を洗い終えたらナプキンでふきます。
最後に
最後に一つ覚えておいていただきたいことがあります。それは、マナーとは本来、まわりの人に不快な思いをさせないための“気遣い”ということです。
できる大人のたしなみとして、テーブルマナーは身につけておきたい教養の一つですが、絶対に守らなければいけないルールではありません。気心の知れた友人や恋人との食事であれば、マナーを気にしすぎるよりも、まずは料理を楽しむのが一番です。
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